AC75のデザインコンセプトの注目点

11月21日に発表された新しいヨットクラスAC75について、イタリアメディアで注目されたポイントを紹介します。

キーワードは
「空中に浮くモノハル」
「転覆しない」
「センターキールがない」
「スタートが攻撃的」

AC75のデザインコンセプトが発表されてすぐに、SNS上でもすぐに新しいヨットへの期待と賞賛のコメントが多く寄せられています。


モノハルの両サイドにT字型フォイルが付いていることで、 モノハルでも空中に浮きながら走行し、フォイルの操作により、通常走行、安定走行などに切り替えができることになります。
カタマランの時にみられたような転覆事故も、フォイルの復元力があるので、バミューダでの惨事は避けることができるという理論です。

この他に、このフォイルがあることで、直進走行をするときには軽風でもできるだけ速度を出し、水の抵抗を軽減することができるので、進路変更時にカタマランでは大きな減速が見られたことに対して、このデザインではジャイビングやタッキングで失速することを最低限に抑えると言われています。

キールがないというのも、将来性を感じさせる革新的なデザインのひとつです。
キールは船の風下での横滑りを防止する機能があるので、ほとんどのヨットの船のお腹の下にはついているのが当たり前とされていますが、AC75ではキールなしで走行ができるというのも技術進歩の見どころになります。

硬質ウィングセールを使わない。
バミューダ大会で使われたAC45のカタマランについていたメインセールは、硬質のウィングセールでした。
これには、毎日クレーンを使ってドックに戻ってきたらセールを取り外さなければいけないという面倒な作業がありました。
その解決策が、今回の硬質ウィングセールを排除することです。
理由として、将来的に他のヨットクラスに変更になった場合にも活用できる技術開発への追求があります。
カタマランでは、硬質ウィングのパワーとコントロールを利用した技術でしたが、この技術は実際に他のヨットクラスのマストには採用されている例がありません。
フォイリングシステムの革新も併せながら、硬質ウィングに伴う取り扱いにくさへの解決作として考慮されています。

また、セーリング方法がプロジェクトのメインテーマでありながら、AC75のデザインコンセプトにおいては、ロジスティックな部分にも注意があり、倉庫内シェルターでの取り扱いやドックへのアクセスのしやすさ、マリーナで幅を取り過ぎず、標準的な停泊ができることも考慮されているということです。

AC75のデザインは、過去のアメリカズカップで採用されたヨットクラスでいうと、1992年のIACC(International Americas Cup Class) に似ているとも。
現在のヨットクラスでいうならば、TP52 、来年からルナロッサやランドローバーが参戦する52 Super Seriesで使用されているヨットがAC75を小さくしたような感じのヨットだと伝えられています。
アメリカズカップは、従来マッチレースがメインのレースなので、見どころの一つであるプレスタートでの操縦をよりシンプルにして、攻撃的なスタートになり、レース中も軽風のコンデションでもスピード感を最大限に出せるヨットにするというコンセプトから、レースの時にセールの選択も勝敗を分ける重要なポイントになるとも言われています。

まだわからないことが多い状態ですが、詳しい規定は2018年3月31日に発表される予定です。

それではまた!
https://www.americascup.com/en/news/14_THE-AMERICA-S-CUP-CLASS-AC75-BOAT-CONCEPT-REVEALED.html
http://www.giornaledellavela.com/news/2017/11/20/benvenuti-nel-futuro-ecco-la-barca-della-coppa-america/

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