第36回アメリカズカップ Race 9,10

 ニュージーランドが防衛に王手

 今日の2レースでニュージーランドが2勝すれば、アメリカズカップ優勝が決まり、Luna Rossaが1勝するだけで、優勝争いは続く展開が待っていた大切な日でした。

レースコースCが使用され、レース前の風速は12−13ノット。

今日のレースは、両チームが100メートル以下のリード差で、リードを奪い合うという昨日とは全く違う展開が待っていました。

Race 9

Emirates Team NZ (◎) vs Luna Rossa Prada Pirelli (X)

 ニュージーランド先行、Luna Rossa後行でスタートボックス入りし、ニュージーランドはプレスタートエリア右側の奥まで走行。

Luna Rossaは時間をかけてジャイブし、ニュージーランドほど右側まで行かず、ジャイブでスタートラインを目指したところに、ニュージーランドが背後からスタートラインを目指して向かってきて、Luna Rossaと並走する形に。

スタート時の両チームのスピードは、同じ35.4ノット。


スタート直後からどちらも譲らないリード争いの展開になり、第1ゲート手前ではリード差わずか5メートルの接戦。

第1ゲートをLuna Rossaが1秒リードで通過し、それぞれ違うボアを選んだことで両チームは違う方向へ分かれた走行に。

第2ゲート手前でも、1メートル差を掛けた走行になり、第2ゲートを先行通過したのはLuna Rossa。

この時にLuna Rossaがボア前のレイラインを無視して、ニュージーランドを近づけないためにニュージーランドの前を直線上に走行したことは戦略上高く評価され、第2ゲート通過をLuna Roosaを有利にした場面。

この画像で、白い霧のように表示されているのがヨットの通過で後方に発生する弱くなった風力のイメージです。これで、なぜ後方のヨットが物理的に不利になってしまうのかイメージができると思います。

 第3レグでも激しいリード争いになり、それでも第3ゲートをLuna Rossaが9秒リードで通過。第4ゲートもLuna Rossaが3秒リード。

第5レグ中盤の交差点で、Luna Rossaはレースコース左側を目指している時、後方のニュージーランドはLuna Rossaの弱い風を受けることを嫌い、「余儀なく」レースコース右側へジャイブ。

これが運命の別れ目に。

右側にも適度な風圧があったことが幸いして、ニュージーランドはこのチャンスを活かして加速し、第5ゲートのリードをLuna Rossaから奪い返して通過。

Luna Rossaは、ファイナルレグで400メートル以上の遅れを取り、ノックアウト。

ニュージーランドが、アメリカズカップ防衛に王手を掛ける勝利のゴール。

続くレース10は、風速が低下し、海上の風速のコンデションが不安定であると判断されたために延期となり、レース10は明日へ持ち越しとなりました。

ニュージーランドのヨットは、常にLuna Rossaよりも風下でも風上でも2−3ノットぐらい上回る数字を出しており、やはりニュージーランドのヨットの方がスピードでは優れているようです。そこに、今日のような運が味方すると、もうしょうがないですね。

だからこそ、Luna Rossaにとっては、スタートを落とさないことが大切で、これまでのレースでもスタートを制しているのはLuna Rossaなので、明日のレースでせめてもの1勝に期待したいです。

それではまた!

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