第36回アメリカズカップ レース5,6
昨日のレース4でLuna Rossaの敗戦について、レース後のインタビューでスキッパーのFrancesco Bruniが「第4レグでの失速は、自分が押すボタンを間違えたためのミス」というコメントを残しましたが、実はLuna Rossaのフォイル機能に故障が発生したのではないかという憶測も生まれた上で、今日の2レースの観戦でした。
今日もまた両チームがそれぞれ1ポイントを獲得し、3対3のタイ。
レースエリアAが使用され、風速は8−9ノットのコンディション。
Race 5
Luna Rossa Prada Pirelli (◎) vs Emirates Team NZ (X)
ニュージーランド先行、Luna Rossa後行で両チームがスタートボックス入りし、両チームはプレスタートゾーン右側まで進み、タックでスタートラインを目指すが、速いスピードだとスタートラインに早い到着になるため減速を余儀なくされる状況。
ニュージーランドが減速から加速へのコントロールに失敗し、Luna Rossaは低速でスタートラインに向かったことで、Luna Rossa有利のスタート。
レースエリア左方向を狙っていたLuna Rossaは、そのまま左エリアを使い、ニュージーランドはLuna Rossaの後を進行するには不利な風を受けるリスクがあったために余儀なく右方向へ。
Luna Rossaが第1ゲート32秒、第2ゲート 32秒、第3ゲート22秒、第4ゲート27秒、第5ゲート23秒で終始リードを保ち、Luna Rossaが18秒リードでゴールし3ポイント目の勝利。
今日のレースが始まる前に、なぜ2艇の距離が200−300メートル前後の時、後方のヨットが前方のヨットを追い越すのが難しいのか。という点について解説がありました。
この難しさは、AC 75のような30ノット近くのスピードで走行するヨットの性質に関係していて、 前方のヨットが使う風を後方のヨットが受けると、風力がすでに弱くなっていて、ただでさえ海上の風速が弱いコンデションだと、走行に使う風力が後方のヨットは約2ノットぐらい低い状態で風を受けることになる。それにより前方のヨットのように風を最大限に活かした走行が難しくなる。つまりスピードも上げられない。という現象が起こるということです。
だから、スタートのポジショニングがとても大切になる。ということです。
Race 6
Emirates Team NZ(◎) vs Luna Rossa Prada Pirelli (X)
Luna Rossa先行、ニュージーランド後行でスタートボックス入りし、Luna Rossaが先行で有利ではないかと見られたプレスタートエリアでの走行は、Race5の立場が入れ替わったかのような展開。
今度はニュージーランドが低速から加速を上手くコントロールし、一方でLuna Rossaは風の弱い「穴」にはまってしまったとレース後にコメントしたように、スタート前36秒の時点でニュージーランドのスピードは、27ノット、Luna Rossaは17ノットで、Luna Rossaはスタートライン前で加速できずに、ニュージーランドに先のスタートを許すことに。
ニュージーランドのスキッパーPiter Buringは、実戦の機会が少なかったながらも、ここ数日のレースでレース感覚を1戦ごとに身につけているようで、風の弱いコンデションだからと言っても、ニュージーランドに油断できない怖さがあるという解説がありました。
ニュージーランドリードの展開でレースは進み、第1ゲート51秒、第2ゲート1分7秒、第3ゲート1分5秒、第4ゲート1分13秒、第5ゲート1分22秒とLuna Rossaが何もできないリード差に。
そのまま、ニュージーランドがゴールし、3ポイント目を獲得。
余談ですが、今日のイタリアの番組には、イタリア駐在のニュージーランド大使がゲストで出演し、もちろんレース観戦のコメントもしていたのですが、「もし今回ニュージーランドがアメリカズカップの防衛に成功したとしても、今大会がニュージーランド開催の最後の回になるでしょう」と。とても意味深なことを言っていました!
ニュージーランドが防衛しても、次回はニュージーランド開催はあり得ない?
どういうことなのか、気になります。
一戦ごとが見逃せない展開になってきていて、明日のレースもドキドキさせられそうな予感がします!
それではまた!
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