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ルイ・ヴィトンカップ/ファイナル/第3日目

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 今日は気まぐれな風速に文字通り振り回されたようなレース日でした。 第3戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) レース開催可能な風速の上限21ノットを超えるコンディションで、やり直しの第3レースは、風が落ち着くまで待つことに。 その待ち時間中に、ルナ・ロッサのメインセールのスプレッダー(間違ってたらごめんなさい!イタリア語では "Stecca" ステッカと呼ばれていました。)が折れてしまい、それに気がついてクルーとスタッフがチェイスボートを使って、メインセールを急遽交換しなければいけないというアクシデントに見舞われました。 チームがメインセールを付け替えている間に、風速が落ち着いてレースを始める条件となってしまい、完全に付け替え作業を終わらなかったルナ・ロッサは、審判団から外部の手助けを受けたと判断され、失格扱い。一方のイネオスは、通常のルールに沿ってスタートし、そのままイネオスが勝利ポイントを獲得する流れに。 ルナ・ロッサにとっては、悔しい失点で、対戦成績が1対2。 イネオスの方もこのレースが終わって次のレースを待っている間に、ジブセールの不具合で一時的にセールをおろして修理作業にかかる場面も。 第4戦:ルナ・ロッサ(◯)vs イネオス(☓) ようやく2艇がレースできる状態になり、スタート前から両チームの攻防が始まり、ルナ・ロッサがわずかなリードでスタートラインをクリア。 2艇のリード差は第1ゲート通過時点でわずか6秒でルナ・ロッサが辛うじてリード。 じわじわとリードを300メートル以上作ったルナ・ロッサが、第7レグでイネオスに110メートルにまで迫られることに。 第7ゲート前のルナ・ロッサのタックミスで、勝敗は最終レグに持ち込まれ、たったの4秒差/75メートルでルナ・ロッサが勝利。 これで対戦成績を2対2。 というわけで、土曜日の延期されたレース日を取り返すために、第5ー6戦が9月30日(月)二予定されています。 とりあえず、ルナ・ロッサファンは今日の1勝でホッとしましたね! こんな状況でも、今日の最高スピードは55ノット/時速102キロをルナ・ロッサが記録しています。 余談ですが、今日コース外でトレーニングをしていたアリンギのヨットも転倒し、壊れました。 それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/ファイナル/第1日目

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ルイ・ヴィトンカップの決勝戦は、1回のレガッタで8レグの走行になり、全部で13レガッタのうち7勝したチームがルイ・ヴィトンカップの優勝チームになり、アメリカズカップを賭けてニュージーランドに挑む権利を獲得します。 第1戦:ルナ・ロッサ(◯)vs イネオス(☓) バルセロナのコースは、今までと違う風速が最大で21ノットあるコンディションで、イネオス対ルナ・ロッサの対決が始まりました。 レース中の最高スピードは52ノット(時速97キロ)が記録されるほど、スピード感あふれるレース展開に。 スタート前の速攻でルナ・ロッサがイネオスを振り切ってスタートラインをクリアし、若干遅れたイネオスがスタート直後にタックで違うコースを選ぶことに。この状況を最後までキープしたルナ・ロッサがイネオスに46秒差(770メートルリード)をつけて勝利し、1ポイントを獲得。 風が強い中、スピードを如何にコントロールして最大のスピードでミスをしないかという緻密な操縦技術が必要だったレースでした。 ちなみに、今日使われていたジブセールは小さめのもの。 第2戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) 今度はイネオスが風下の有利な方向に向かってスタートラインをクリアすることに成功し、ルナ・ロッサが若干遅れを取ってスタート。 第1戦目ほどイネオスとルナ・ロッサのリード差は広がらず、何度かルナ・ロッサが接戦の可能性を作ったかと思えば、また離されるという展開でそれでも200−300メートルの遅れではあったものの、イネオスがリード差をキープして18秒差(389m)でゴールして1勝。 レース終了後の両チームの比較データで明らかになったのは、このレースで操縦回数とそうきょう距離が短かったのはイネオス。ルナ・ロッサの方が何度かタック数が多くて、そうきょう距離が長くなり負けてしまったという分析のようです。 というわけで、イタリアでのメディアの反応は「イネオスもなかなかやるな」という空気です。 というのも、昨日まで開催されたYouth America's Cup 若い世代のセーラーがAC40で競う大会で決勝戦をルナ・ロッサとアメリカンマジックが戦い、ルナ・ロッサが優勝したから、本家のルイ・ヴィトンカップでもルナ・ロッサがんばれ!ムードが高まっているからだと思います。 というわけで、それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第5日目

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 ルナ・ロッサが前日のスランプを覆し、ルイ・ヴィトンカップ決勝戦へ! この日に予定されていた最後の2レースで、ルナ・ロッサとアメリカンマジックの運命が決まる決定的な日でした。 アメリカンマジックが、もう1勝していたらルナ・ロッサと勝利ポイント4対4で同点になり、最終レースが決定戦になるというシナリオも想定できていました。 海上の風速は7−11ノットで、ルナ・ロッサの陸上のチームが徹夜で前日に故障したメインセールのトラベラートラックシステムを修理し、ルナ・ロッサが再び海に戻ってきました。 イタリア/アメリカ第8戦:ルナ・ロッサ(◯)vs アメリカンマジック(☓) スタート前の駆け引きで、アメリカンマジックの方が若干先行でスタート。 スタート直後の第1レグからリーダー争いの展開で、第1ゲートはルナ・ロッサリードで通過。 第4レグまで、アメリカンマジックが110−140メートルの距離でルナ・ロッサに付いていく状況で、なかなかリードが広がらず、両チームのスピードもほぼ互角で35−36ノット。 第4レグ中盤からルナ・ロッサが走行する方向が風速の強めなゾーンで、この辺りからリード差が300−500メートル以上に。最終レグではアメリカンマジックに対してルナ・ロッサが700メートル以上リードし、決勝戦へ向かう堂々のゴール。 ルナ・ロッサの仕上がり度を実感したセミファイナルであり、アメリカンマジックは前評判が良かったのに、なぜ結果を残せないのか?アメリカチームがアメリカズカップに参戦しなくなったらどうなるの?とふと考えたセミファイナルステージでした。 イタリア国では速報でこのニュースが報道され、勝利の瞬間にイタリア語で歓喜するルナ・ロッサのクルーたちの言葉も観客は楽しみに聞いている雰囲気です。 決勝戦の対戦カードは4年前のオークランドと同じ、イネオス対ルナ・ロッサに決定し、9月26日から始まります。 それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第4日目

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 海上の風速は10ノット前後で、イギリス対スイス(4対1)、イタリア対アメリカ(4対1)の状況から、それぞれ2回戦がありました。 結果は、イネオスが2戦目で勝利し、ファイナルステージに駒を進め、アリンギは敗退が決まり、ルナ・ロッサは2連敗、アメリカ2連勝で総合ポイントが4対3に。 イギリス/スイス第6戦:アリンギ(◯)vs イネオス(☓) スタートはアリンギ先行で始まり、イネオスが追いかける形で進行し、第1ゲート前でイネオスがアリンギに約18メートルまで迫り、ゲート通過後にイネオスが一旦リード。 第4レグでイネオスがフォイルダウンで減速し、ここが勝機になったアリンギはそのまま逃げ切ってゴール。アリンギが2ポイント目を獲得し、対戦成績を4対2に。 イタリア/アメリカ第6戦:アメリカンマジック(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) スタートはアメリカンマジック先行で始まり、ルナ・ロッサは近い距離でアメリカンマジックを追いかけ、第2レグでもリーダー争いの接戦の展開に。 第3ゲート通過前に両チームのヨットが左右からそれぞれ違うボアに向かったことで、ボア通過後にルナ・ロッサがフォイルダウンで減速し、アメリカンマジックもその後減速。 減速から早く復活したのは、アメリカンマジックの方で、そのままルナ・ロッサを引き離してゴールし、2ポイント目を獲得。 イギリス/スイス第7戦:イネオス(◯)vs アリンギ(☓) スタート前にイネオスがペナルティを受けたことで、アリンギは若干有利な状況でスタート。 スタート直後ペナルティを消化したイネオスがアリンギにを捉えて、リードが逆転。 第1ゲート通過後からイネオスが徐々にリード差を広げていき、今回はアリンギには逆転の成す術もなく、ファイナルレグでフォイルダウンし、これでアリンギの敗戦が決定的に。 イネオスが勝利し、5ポイント目を獲得。 ルイ・ヴィトンカップの決勝戦へ駒を進める勝利になりました。 イタリア/アメリカ第7戦:アメリカンマジック(◯)vs ルナ・ロッサ(失格) 両チームともほぼ同じスピードでスタートし、スタート直後はアメリカンマジックがリード。 第1レグから接戦の展開で何度もリードが逆転し、どちらが勝てるのか予想するのが難しい状況。 第4レグでルナ・ロッサが90メートル以上のリードを作り、これからというタイミングでタックをしたときに、ルナ・ロッ

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第3日目

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この日にアリンギかアメリカンマジックはトーナメントから敗退するだろうと、大半が予想していたと思いますが、自然の力が手伝って両チームとも九死に一生を得た日となったレースになりました。 どんなにハイテクなヨットでも、自然の力には抗えない。そんな日でした。 イギリス/スイス第5戦:アリンギ(◯)vs イネオス(失格) スタート前の風速は9ノットほどで、両チームとも悪くないスタートラインへのアプローチ。 アリンギがOCSペナルティ(スタート前にコース内にアクセスした)で、スタートラインをクリアしてからペナルティ消化のハンディを背負ってレースが始まり、イネオスはそれを機に徐々にリード差を広げ、第2ゲート通過前に414メートルのリード。 イネオスが第2ゲート通過時に、フォイルダウンで減速。イネオスの速度は12.8ノットに対して、アリンギが28.9ノットで追いかけて、第3レグでとうとうアリンギがリード。 第3レグで海上の風速が5.9ノットに落ちたことで規定の最低風速6.5ノットを下回る状況で、イネオスはスピードを取り戻せず、アリンギもスピードを落として進行することに。 アリンギは1800メートルのリード差を作ったことと、1レースの最長時間が45分までという規定があり、ゴールが5レグまでに縮小されたことで、45分以内にアリンギがゴールラインにたどり着けば勝利という状況に。 この状況でスタート開始からアリンギは41分後にゴールラインにたどり着いたことで、アリンギ勝利! イタリア/アメリカ第5戦:アメリカンマジック(◯)vs ルナ・ロッサ(失格) スタートラインを先行して発進したのは、ルナ・ロッサ。アメリカンマジックがルナ・ロッサに付いていく形で、第3レグでアメリカンマジックがリードサ46メートルまで迫って来た。 このあたりから両チームがタックでクロスするシーンで何度かアメリカンマジックがルナ・ロッサに対して抗議し、ルナ・ロッサが2回のペナルティを受けることに。 贔屓目もあるかもしれないですが、見ていてアメリカンマジックがわざと接近してきて、抗議してペナルティ消化の間に距離を伸ばすという思惑があったんじゃないかという印象を持ちました。 第4レグでも接近した攻防があり、良くなかったのは第4ゲート通過時のルナ・ロッサ。 ルナ・ロッサの方が角度的に無理のあるボアの通過で、墓穴を掘ることに。

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第2日目

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 海上の風速が18ノットでレース中の最高速度も50ノット(時速92.6キロ)を記録するスピード感のあるレース日になりました。 ルナ・ロッサとイネオスがそれぞれ2連勝し、両チームとも5勝目まであと1ポイントに迫り、ファイナルステージへ駒を進めることが注目されています。 イタリア/アメリカ第3戦:ルナ・ロッサ(◯)vs アメリカンマジック(☓) スタートラインは両チーム同時にクリアし、すぐにルナ・ロッサがアメリカンマジックの引き離しに成功。第2ゲート通過の際にアメリカンマジックがフォイルダウンで減速したことで、リード差を縮めることが難しくなり、そのままルナ・ロッサリードでゴール。 ルナ・ロッサの3ポイント目の勝利に。 イギリス/スイス第3戦:イネオス(◯)vs アリンギ(☓) アリンギがスタート前のアプローチで減速し、スタート30秒前ではイネオスとの接近で船体が傾いてしまうアクシデントも起こして、レースはイネオスが有利な状況でスタート。 これがレース展開に影響し、アリンギがスタートラインをクリアした時にはすでに1000メートル以上のリードがあり、イネオスは2464メートルのリードでゴール。 3ポイント目の勝利。 イタリア/アメリカ第4戦:ルナ・ロッサ(◯)vs アメリカンマジック(☓) アメリカンマジックが若干のリードでレースが始まり、ルナ・ロッサがすぐにリードを取り戻す展開に。第5レグまでは、ルナ・ロッサが常に速度を上回りアメリカンマジックを100メートル以上のリード。 第5レグからファイナルレグに差し掛かる辺りから、アメリカンマジックがリード差を60メートルから最大20メートルまで詰める接戦に。 わずか2秒(40メートル)の差で、ルナ・ロッサが勝利。 イギリス/スイス第4戦:イネオス(◯)vs アリンギ(☓) スタートは難なくクリアしたアリンギとイネオス、スタート直後の第1レグでイネオスがアリンギを追い越し、終始イネオスがリードを伸ばす展開で、アリンギの良いところを見ることができないままイネオスが勝利。 というわけで、相撲で言うなら、「稽古十分」か「稽古が足りない」かという目線で、各チームのパフォーマンスを見たレースでした。 やはり、新参者のアリンギには経験数が少なすぎて難しい部分があるのではと思いました。 一昔前ならワールドシリーズで、実戦を重ねることで技術やパフ

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第1日目

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 セミファイナル戦がスタートしました! 対戦カードは、イネオス(イギリス)対 アリンギ(スイス)と、アメリカンマジック(アメリカ)対 ルナ・ロッサ(イタリア)。 9回戦のうち5勝したチームがファイナルに進出するルールです。 海上の風速は10ノット前後で、スピード感のあるレース展開で、イネオスのパフォーマンスのレベルがラウンドロビンの後半戦から良くなってきている感じが続いている印象でした。 アメリカ/イタリア第1戦: ルナ・ロッサ(◯)vs アメリカンマジック(☓) スタートはアメリカンマジック先行で始まり、第1レグではアメリカンマジックをルナ・ロッサが追いかける形に。 第1ゲート通過時の差はわずか2秒。第2ー3レグはつかず離れずの距離でアメリカンマジックがリード。 第4レグ中盤でルナ・ロッサがアメリカンマジックを追い詰め、第5レグで逆転に成功。 アメリカンマジックに対してわずか2〜3秒ほどのリードで、ルナ・ロッサが勝利。 イギリス/スイス第1戦:イネオス(◯)vs アリンギ(☓) スタートラインへのアプローチは両チームとスピード感のあるもので、アリンギが先行してスタート。 第1ゲートもアリンギリードで通過したのに、第2レグでイネオスが逆転し、その後のアリンギは伸び悩みながら第4レグのフォイルダウンで減速し、結果は悪い方向へ… イネオスが余裕で勝利ポイントを獲得。 イタリア/アメリカ第2戦: ルナロッサ(○)vs アメリカンマジック(✕) スタートを先行したのは、アメリカンマジック。 第2レグまでアメリカンマジックのリードで進行も、リード差は110メートルほどでなかなかルナロッサを引き離せない状況で、第2ゲート通過直後にアメリカンマジックがフォイルダウンで減速。 この勝機を逃さなかったルナロッサが、第3レグで逆転。 アメリカンマジックが減速のダメージをすぐに取り戻したことで、第3レグは一時接戦の展開に。 第3ゲート通過以降、ルナロッサがリード差を110~120メートル保ち、逃げ切って2連勝。 この勝利はイタリア国内でもニュースとしてちゃんと伝えられています!