ルイ・ヴィトンカップ 7対4でイネオス・ブリタニアが優勝!


 6対4で迎えた第7日目。ルナ・ロッサが少なくともあと1勝して、もうちょっとこじれるところを見たかった人が多かったのではないでしょうか?(私もその一人でした)

海上の風速がAC75のレースには理想的な12−15ノットのコンディションで、イネオスの実力は本物なのか?ルナ・ロッサは最後の最後まで戦い抜いてくれるのか?そんなところが見所でした。

第11戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓)

スタートラインへのアプローチの正確性とスピードのコントロールが優れていたのは、イネオスで、逆にルナ・ロッサは、イネオスの動きに合わせるような、遠慮がちにも見えるようなスタートラインへの「らしくない」攻撃性に欠けたアプローチに見えました。

スタートラインの攻防がその後のレース展開にも影響したかのように、ルナ・ロッサがスタート直後タッグをするしかない状況で、第1レグでは終始イネオスのほうがスピードも上回った走行で、第1ゲート前はイネオスが162メートルでリード。

第2レグでもイネオスが235メートル、第4レグで156メートル。

この時点ですでに操縦で優れていたのはイネオスで、平均スピード、平均VMG、操縦回数ですべてがルナロッサより優れたパフォーマンスを記録していました。

しかし、第5レグで小さな奇跡が起こり、ルナ・ロッサがイネオスに対して9メートルまで迫って、ここがルナ・ロッサに踏ん張ってほしかった瞬間でしたが、第5ゲート通過でまたイネオスがリードを90メートル以上広げ、最終レグでは260メートル以上に。

ゴール前では300メートル以上のリードで、イネオスがルイ・ヴィトンカップ優勝を決定づけることに。

総合対戦成績7対4。イネオスのルイ・ヴィトンカップ優勝が決定。


イネオスの優勝において、イネオスが確実に実力をつけていて今日のレースはミスがゼロといえる素晴らしいパフォーマンスが評価されました。

レース後のイタリアメディアの解説者もイネオスがレース回数を重ねるごとに実力をつけていた事に触れており、同様のことをルナ・ロッサのチームディレクターであるMax Sirenaもコメントしていました。

イタリアメディアのコメントを引用すると、イネオスはキャンプ地をスペインのマヨルカ島で行っており、キャンプ中にヨットを何度も壊す経験を経て、バルセロナの波に合わせた操縦を経験から実力に変えてきたのではないか?逆にルナ・ロッサは、大会直前までイタリア・サルディニア島でキャンプをしており、バルセロナの海に完全にフィットできるまでの完成度に欠けていたのではないか?という分析もありました。

事実、ルナ・ロッサは後半になってヨットが壊れるアクシデントに見舞われて、2ポイント失っています。それを考えると、コメンテーターが言うことも一理あるのかなと思いました。

イネオスのルイ・ヴィトンカップ優勝は、イギリスチームがアメリカズカップに参戦し始めてから、60年間後に獲得できた初めての優勝、しかも、「もし」イネオスがニュージーランドに勝ってアメリカズカップを獲得できるならば、イギリス史上初、アメリカズカップの歴史が始まって以来173年ぶりにイギリスが作ったアメリカズカップを故郷に持ち帰ることができる。という期待がかかる挑戦になります。

ここからは、レース後に収集したルナ・ロッサに関する情報です。

<ルナ・ロッサの今後>

レース後のインタビューで、チームディレクターのMax Sirenaが、ルナ・ロッサのアメリカズカップ再挑戦を宣言しています。

こんな負け方をしてしまったにも関わらず、オーナーのプラダ一家、Miuccia Pradaの夫Patrizio Bertelliから次回への参戦にすでに許可をもらっている。というコメントをしていました。

<Jimmy Spithillがアメリカズカップを引退>

レース後のインタビューで、Jimmy Spithill本人がアメリカズカップから身を引くことに触れ、「自分より次の世代でしょ。」とサラッと言ってしまったJimmy Spithill。

彼がルイ・ヴィトンカップで敗退したのは、2010年以来とも言われていて、今日のレースがアメリカズカップでJimmy Spithillを見た最後のレースになってしまった…なんかショックじゃないですか?

これでまた一人のレジェンドがアメリカズカップを去っていくことに、寂しく思います。

しかし、Sail GPのイタリアチームに移籍するという情報が流れています。

それを考えると、今日のレースではすでにJimmy Spithillの思いは決まっていたんだな。と納得できるし、昔みたいなギラギラ感が今は薄れた感じであったのも納得できました。

そんなわけで、イタリア国内はかなりがっかりモードです。

しかし、ルナ・ロッサファンも今度はイネオスを応援するという雰囲気になっている感じです。

ルナ・ロッサの敗退とJimmy Spithillの引退。なんかショックな日になりました。でもイタリアにルナ・ロッサが存続し続けるというのは、日本と違う部分であり、根底にあるこの競技に対する執着レベルの違いを感じます。

<アメリカズカップスタート>

10月12日(土)から、いよいよEmirates Team NZ とIneos Britanniaの対戦が始まります。

それではまた!

コメント

  1. 素晴らしい挑戦艇レースでした。カップ戦が楽しみです。

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  2. コメントありがとうございます!
    今回もたくさんのドキドキ、ハラハラがありましたね!

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