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第38回アメリカズカップ、チャレンジャーオブレコードはINEOS!

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11月8日に、 ロイヤルニュージーランドヨットスクワドロン(RNZYS)で構成するエミレーツチームニュージーランドが、INEOSブリタニアに代表されるロイヤルヨットスクワドロンリミテッドからの第38回アメリカズカップ(AC38)への挑戦通知を受け入れたことが、公式発表されました。 従って、次回の第38回アメリカズカップは、ディフェンダーであるエミレーツチーム・ニュージーランドとINEOSがチャレンジャーオブレコードとして、両チームを中心とした準備が進められることになります。 プレスリリースによると、Ben Ainslieの主導で今後のINEOSが運営されるようです。 主な合意事項は以下の内容です。 (a) ヨットクラスはAC75で、チームは新しいものを1つだけ造船することに制限。 (b) チームに所属するクルーの国籍に関するルールは現状維持になり、新規参加チームに関するに関する規定が見直される。 (c) AC38マッチはAC37マッチの完了から3年以内に開催される予定。 (したがって2027年10月19日を目処)、開催地に合わせた必要な変更がなされることが条件。(バルセロナにならない可能性も) 開催地はAC37マッチの最終レースから8ヶ月以内にディフェンダーによって発表される予定であり(目安は2025年6月19日まで)、プロトコルはこの期間内にできるだけ早く公開される。 (d) 以下の制限がAC75およびAC40のヨットの航行と試験に適用されます: - AC37マッチの最終レースの日付から12ヶ月間、AC75ヨットの航行は禁止される。 新しいチームによるAC75の事前航行に関しては、予選レースに参加する場合の例外を除く。 - LEQヨットの開発は禁止されますが、AC40ヨットの「クラス内」での航行に制限は無し。 AC75ヨットの航行日数の総数に制限が設けられる。 ーーーーーー これを読んで、「また自転車か〜」と思ったのは私だけでしょうか? どうせなら、AC75で自転車無しでやってほしいと思います。 というわけで、38回アメリカズカップがこれ以上つまらなくならないように。と思うところです。 それではまた!

第37回アメリカズカップをニュージーランドが防衛!

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  第9戦:Emirates Team NZ(◯)vs Ineos Britannia(☓) このレースの勝敗がニュージーランドのアメリカズカップ優勝か、イネオスの生き残りかの分かれ目になるレースでした。 海上の風速は7−11ノットで穏やかな波で、前日にニュージーランドが楽勝したコンディションとほぼ同じ。 スタートボックスの攻防では、イネオスがニュージーランドより先行しスピードもイネオスが上回る状況で、スタートラインをクリア。 スタート直後から、ニュージーランドがスピードを上げて、すぐに95mから263mのリードを広げ、イネオスが追い上げに苦戦。 第2レグで300m以上、中間のデータでは両艇とも互角のスピードとVMG。 第3レグでニュージーランドにタックのミスと、イネオスが風速の強いエリアを上手く選べたことで、リード差が一気に77mから最高で17mに。 もしかしたら、なにか起こるかもしれないと思わせた、このレースでの見所でした。 第4レグでニュージーランドが再びリードを広げ、第5レグで再びリード差が180m台に迫りながらも、第5ゲート通過後にニュージーランドが一気にスピードアップして480mのリード、37秒差をつけて、アメリカズカップ優勝を決めました。 今回のニュージーランドの優勝はアメリカズカップ史上初の3連覇を記録した、歴史に残る優勝でした。 アメリカズカップ挑戦の長いキャリアを持つチームとしての勝ち方を熟知していることを裏付ける防衛艇としての圧倒的な強さを見せつけた大会になったと思います。 Emirates Team NZの代表Glant Daltonのコメントを聞いていると、これから先もまだまだ勝ち続けることを考えているように見えました。 レースが終わったばかりで話題になるのは、次の大会のこと。 アメリカズカップならではで、すでに出ている噂では、次の大会は3年後が有力であり、かつてのチャレンジャーチーム、スウェーデンのArtemisも参戦に興味を示している。ということ。 イタリアのLuna Rossaは、すでに参戦を公表しており、スキッパーはイタリア人オリンピックメダリストの2人が起用されることも決まっています。 気になる開催地は、オマーンか、どこかもう一箇所の候補が出ており、ニュージーランドで開催はされないことが決まっているようです。 今回のAC75は、個

アメリカズカップ/第5日目:ニュージーランドが優勝に王手!

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 8−14ノットの風速で、穏やかな波のコンディションで第7戦、第8戦が行われました。 第7戦:Emirates Team NZ(◯)vs Ineos Britannia(☓) スタートラインへのアプローチで、イネオスがニュージーランドより前で走行しながら、後ろから追い上げてくるニュージーランドの動きを上手く封じ込めていないように見えました。 スタートラインは、僅かな差でイネオスが飛び出したものの、ニュージーランドがすぐにイネオスを逆転し、第1レグですぐに210m以上のリード。 第3レグで453m、第4レグは500m以上のリードで、中間データではニュージーランドが平均スピード、平均VMGを上回り、操縦回数はイネオスよりも1回少なくて、イネオスよりリードしていた状況。 風速が12ノットで、ニュージーランドの勢いは止まらず、最終レグで1000m以上のリード差で、ニュージーランドがゴールし、5ポイント目を獲得。 総合対戦成績は、5対2。 どうやら、このレースでのイネオスの敗因は、ジブセールの選択にもあったようで、ニュージーランドのジブセールのほうが、イネオスのものよりも小さいセールを選んでいたという指摘がありました。 第8戦:Emirates Team NZ(◯)vs Ineos Britannia(☓) 両艇が同じ大きさのジブセールで望んだこのレース。 スタートボックスでニュージーランドがイネオスの後ろについているような「ふり」をしていたかのように、スタートライン直前でニュージーランドが一気にスタートダッシュでスピードを38ノットに上げて、スタートラインをクリア。 コースの左側を守ったニュージーランドは、スピードを上げて第1レグで150m以上のリード。 第2レグでは、タックでイネオスが海にタッチダウンしたことで減速してしまい、ニュージーランドが更にリード差を広げることに。 第5レグで366m〜270mのリード差。第6レグで554m、ニュージーランドが強すぎて第8レグではすでに1000m以上のリードで、ゴールを待たなくても勝敗が決まったレースになりました。 対戦成績は、6対2でニュージーランドがアメリカズカップ優勝に王手です。 長年アメリカズカップを観戦してきて、私も薄々考えていたことですが、前日のイネオスの2勝は確かに素晴らしいことでしたが、この週末までアメリカズカップの

アメリカズカップ/第4日目:イネオスが2連勝

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 一日レースがなかったことが、どうやらイネオスにとって風向きが変わったレース日になったようです。 風速は7−11ノットで、今までの展開で見たらニュージーランドが勝ちそうなコンデションでしたが、今日は一転、イネオスのファンじゃなくても今日はイネオスに「逃げろ!逃げろ!」と声をかけたくなるようなレースになりました。 第5戦:Ineos Britannia(◯)vs Emirates Team NZ(☓) 6.5ノットの軽風でありながら波が荒かったことで、フォイリングしながらスピードを上げることが難しいコンディションが影響し、スタートボックスの攻防でニュージーランドがまさかの失速。 イネオスにとって一矢を報いる大チャンスになり、ニュージーランドがフォイリングとスピードを取り戻すまでに時間がかかったことで、イネオスが第1レグで1600m以上のリードを取ることに。 第2レグでは1750m以上に広がり、第3レグからニュージーランドがペースを取り戻し、スピードを上げたことでリード差が1100m台。 最終レグのゴール前では1249mのリードで、イネオスがアメリカズカップで初めての勝利。 対戦成績が1対4に。 第6戦:Ineos Britannia(◯)vs Emirates Team NZ(☓) スタートボックスの攻防で積極的にスピードを上げていたイネオスがニュージーランドよりも速いスピードで、スタートラインをクリア。 (このレースが8レグまで走行したのは、これが本当のレース距離で、前日3日間は軽風だったから6コースのレース距離だった。ということらしいです) 第1レグでニュージーランドの厳しい追い上げがありながら、首位を守ったのはイネオス。 第2レグで150mのリードを広げ、第3レグで200m台のリード。 この時の平均スピードも平均VMGもイネオスが上回る数字で、第4レグもイネオスが200m台のリード。 ニュージーランドが第4、第6レグあたりで追い上げを見せて、第7レグではリードサが80−70m台に。第7ゲートを119m差で先に通過したイネオスに対して、最終レグでニュージーランドが57mまで詰め寄ってきたところを、イネオスが逃げ切って2勝目。 対戦成績を2対4にして、ポジティブなレース結果にしました。 この2連勝は、イギリスにとってなんと1934年以来、90年ぶりの歴史に残る2連勝

アメリカズカップ/第3日目:4対0でニュージーランド優勢

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 今日のレースは前日に延期になった第4戦が行われました。 風速9ノット前後の軽風のコンディションで、イネオスのパフォーマンスが注目された一戦になりました。 第4戦:Emirates Team NZ(◯)vs Ineos Britannia(☓) スタートボックスの攻防でイネオスがニュージーランドにタックで攻撃を仕掛けるような動きで、スタートライン前からスピードを上げてスタートラインをクリアし、第1レグではイネオスが何度かリードし、ニュージーランドもすかさずリードを奪い返す展開に。 第2レグ中盤までリード争いが続くも、2艇が交差する時にイネオスがペナルティを警戒したかのように、ニュージーランドに対して攻め込めなかった場面があり、この辺りからニュージーランドがリード差を広げることに。 第3レグで130m,第4レグで210m、この時点でのパフォーマンスは平均スピードも平均VMGも僅かであったのに対して操縦数がニュージーランドがイネオスより2回上回っている状況。 第5レグではニュージーランドのスピードがイネオスを上回るようになり、リード差を広げてゴール前では339mのリードでニュージーランドが勝利。 ニュージーランドが対戦成績を4対0に伸ばしました。 レース後のインタビューでイネオスのBen Ainslieが「決して悪くなかったけど、ニュージーランドが1枚上だった」とコメントしていたように、序盤は悪くなかったんじゃないかと思いました。 風速が変わらなければ、ずっとこの展開なのか?と想像してしまうほど、今日のレースでもニュージーランドの圧倒的な安定性に納得せざるを得ない結果でした。 次回は10月16日(水)です。 それではまた!

アメリカズカップ/第2日目:3対0でニュージーランドがリード

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 今日も平均8−9ノットの軽風で第3戦、第4戦が予定されていましたが、スペイン国王フェリペ6世も観戦したとのことで、、結局、第3戦だけ行われて、第4戦は延期扱いで月曜日に行われることになりました。 第3戦:Emirates Team NZ(◯)vs Ineos Britannia(☓) スタートボックスの攻防で、両艇が接触しそうな至近距離で交差する場面があり、ここでイネオスがペナルティを受けて、レースが開始。この場面での優先権はニュージーランドと判断されたため。 スタートラインのクリア直後にイネオスがペナルティを消化しなければいけなかったことで、状況はニュージーランドが有利な状況で展開。 このペナルティがイネオスの足手まといになったのは明らかで、第1レグでイネオスがスピードを上げても、ニュージーランドに迫ることができたのは最高で75メートルまで。 第1ゲートを19秒差でリードしたニュージーランドは、第2レグで260m、第3レグで183m・265m、第5レグで365m、ファイナルレグでは786mもリードを広げて、そのままゴール。 対戦成績を3対0に進めました。 イタリアのメディア解説でも、軽風ではイネオスが勝つのは難しそうで、もし今より強めの風がここ数日のレースで吹いてくれれば、イネオスに勝つチャンスがあるかもしれないという見解です。 というわけで。それではまた!

アメリカズカップ/第1日目:ニュージーランドが2連勝でスタート

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軽風のコンディションで、イネオスとニュージーランドのアメリカズカップを賭けたレースが始まりました! アメリカズカップ本戦は、13レースのうち7勝先行したほうが勝ち、アメリカズカップの獲得が決まります。 第1戦:Emirates Team NZ(◯)vs Ineos Britannia(☓) 軽風のためにスタート時間が延期された間に、イネオスのヨット上で何かを修理するような動きがありましたが、レース自体には影響がなかったようです。 スタートボックス前で、イネオスはフォイリングするのにバタついた様子でスタート前の時間を有効に使えず、その影響で問題なくスタートボックスに入ったニュージーランドにスタート前のコース取りをコントロールされることに。 スタートラインクリアの時点で、ニュージーランドがイネオスより3ノット速いスピードで走り出し、第1レグから150メートル以上のリードで第1ゲートを通過。 この時点で、平均スピード、平均VMGもニュージーランドが優勢。 第3レグで250メートル、第4レグで460メートル、最終レグで600メートル以上のリードでニュージーランドが勝利し、1対0で初戦を飾りました。 イタリアのメディア解説者のコメントを引用すると、このレースではイネオスのジブセールの方がニュージーランドのものより大きいジブセールを選んでいることが明らかで、イネオスの敗因はジブセールの選択にあった。という分析です。 第2戦:Emirates Team NZ(◯)vs Ineos Britannia(☓) スタート前の攻防で、イネオスは tack-around-and-trailというルナ・ロッサとの対戦で見せた技を使ってニュージーランドに挑み、ニュージーランドがアグレッシブなジャイビングで応える展開で、それでもニュージーランドが3ノット以上速いスピードでスタートラインをクリア。 レース開始直後はイネオスリードで始まり、ニュージーランドがリードを奪い返し、第2レグでもイネオスが25〜最大50メートルまでリードを広げ、平均スピード、平均VMGでもイギリスが優れたパフォーマンスで走行。状況が変わったのが第3レグの風上コースからで、コース上の風速が上がったタイミングを捉えて、イネオスを切り離すことに成功。 第4レグで133メートル、第5レグで263メートル、最終レグで409メールにリー

ルイ・ヴィトンカップ 7対4でイネオス・ブリタニアが優勝!

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 6対4で迎えた第7日目。ルナ・ロッサが少なくともあと1勝して、もうちょっとこじれるところを見たかった人が多かったのではないでしょうか?(私もその一人でした) 海上の風速がAC75のレースには理想的な12−15ノットのコンディションで、イネオスの実力は本物なのか?ルナ・ロッサは最後の最後まで戦い抜いてくれるのか?そんなところが見所でした。 第11戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) スタートラインへのアプローチの正確性とスピードのコントロールが優れていたのは、イネオスで、逆にルナ・ロッサは、イネオスの動きに合わせるような、遠慮がちにも見えるようなスタートラインへの「らしくない」攻撃性に欠けたアプローチに見えました。 スタートラインの攻防がその後のレース展開にも影響したかのように、ルナ・ロッサがスタート直後タッグをするしかない状況で、第1レグでは終始イネオスのほうがスピードも上回った走行で、第1ゲート前はイネオスが162メートルでリード。 第2レグでもイネオスが235メートル、第4レグで156メートル。 この時点ですでに操縦で優れていたのはイネオスで、平均スピード、平均VMG、操縦回数ですべてがルナロッサより優れたパフォーマンスを記録していました。 しかし、第5レグで小さな奇跡が起こり、ルナ・ロッサがイネオスに対して9メートルまで迫って、ここがルナ・ロッサに踏ん張ってほしかった瞬間でしたが、第5ゲート通過でまたイネオスがリードを90メートル以上広げ、最終レグでは260メートル以上に。 ゴール前では300メートル以上のリードで、イネオスがルイ・ヴィトンカップ優勝を決定づけることに。 総合対戦成績7対4。イネオスのルイ・ヴィトンカップ優勝が決定。 イネオスの優勝において、イネオスが確実に実力をつけていて今日のレースはミスがゼロといえる素晴らしいパフォーマンスが評価されました。 レース後のイタリアメディアの解説者もイネオスがレース回数を重ねるごとに実力をつけていた事に触れており、同様のことをルナ・ロッサのチームディレクターであるMax Sirenaもコメントしていました。 イタリアメディアのコメントを引用すると、イネオスはキャンプ地をスペインのマヨルカ島で行っており、キャンプ中にヨットを何度も壊す経験を経て、バルセロナの波に合わせた操縦を経験から実力に変えてきたのでは

ルイ・ヴィトンカップ/ファイナル/第6日目

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 4対4の対戦成績から、イネオスが2レースとも勝利したことで、6対4。とうとう状況が変わり始めました。 前日に防御版の破損があったルナ・ロッサが徹夜で修理を行って今日のレースに挑み、海上の風速は16−19ノットでスピード感のあるレース展開になりました。 第9戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) スタートダッシュを決めようと、両チームがスタート前の激しい攻防で始まり、イネオスが若干のリードでスタートラインをクリア。ルナ・ロッサも遅れを取らないように10−20メートルのリード差で付いていくものの、第1ゲートではイネオスのスピードがルナ・ロッサを上回っての通過。 第2レグで200メートルのリードをイネオスが作り、第4レグではルナ・ロッサリード差70メートルに迫る状況で、第4ゲートわずか7秒遅れで通過したルナ・ロッサがゲート通過後にフォイルダウンで失速。 これが仇となり、イネオスがリードを250メートルに広げ、第7ゲート前でルナ・ロッサが183メートル差にまで迫るのも、時すでに遅し。 ファイナルレグでイネオスが310メートル以上のリードを保ち、逃げ切ってイネオスが勝利。ルナ・ロッサは、わずか23秒差で痛い一敗。 対戦成績が5対4。 第10戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) 両チームのスピードはわずか1ノットほどで、ルナ・ロッサがイネオスの傍らに付いてプレッシャーを掛けながら、両チームがスタートラインの左側を目指してスタートクリア。 イネオスが20メートルのリードで始まり、第1ゲート通過時のスピードで上回ったのもイネオス。 第2ゲート通過時にイネオスが一瞬の操作ミスをしても、すぐに取り戻し、なかなかルナ・ロッサに逆転のチャンスが来ないまま、第5レグで激しいタックが繰り返される攻防になり、リード差が50メートル前後に。 伸び悩んだルナ・ロッサに対して、イネオスは第7ゲート通過で145メートルのリードを広げて、最終レグを166メートルのリード、わずか7秒差で逃げ切り、イネオスが勝利。 この勝利ポイントで対戦成績が6対4。 イネオスがとうとうルイ・ヴィトンカップ優勝に王手をかけるマッチポイントにたどり着いたことになりました。 結果的に、どちらのレースでもイネオスのほうがルナ・ロッサよりスピードが上回っていたことが勝因のようでした。 7戦先に勝利したチームがルイ・ヴィト

ルイ・ヴィトンカップ/ファイナル/第5日目

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 今日も誰もが予想しなかったドラマが起こった展開になり、終わってみれば4対4の同点の結果になりました。 風速が最高21ノットのコンディションで、ハイスピードで展開したレースの危険性とAC75の「もろさ」が露呈したレース日になりました。 第7戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(失格) スタート前から激しい攻防があり、イネオスが僅かなリードで、スタートラインをクリアしたあと、第1レグでは終始1−2メートルのリード差で絶え間なく首位が入れ替わる展開に。 第1ゲートをルナ・ロッサが通過した直後に、ルナ・ロッサがノーズダウン(船首が海面に突っ込んでしまう現象)を起こし、マストの下部をカバーする船上の防御版がノーズダウンのショックで剥がれてしまい、ルナ・ロッサがまさかの大ピンチ! その時の動画はこちら。↓ このアクシデントでルナ・ロッサは走行不能となり、失格扱いになったため、イネオスが勝利ポイントを獲得して、対戦成績をルナ・ロッサ3ポイント対イネオス4ポイントに。 次の第8戦までに、ルナ・ロッサのスタッフ総出で故障箇所をガムテープで直したことが話題になり、チームマネージャーのMax Sirenaが率先して修理したことに対する賞賛があった一方で、500万ドル(5億円以上)するヨットが、応急処置でガムテープで修理されたことに矛盾を感じるというコメントも出ていました。 第8戦:ルナ・ロッサ(◯)vs イネオス(☓) 今度はイネオスがスタート前の攻防でバウンダリーエリアに侵入したことで、ペナルティを受け痛い出だしでスタート。 ペナルティを受けたヨットはスタート後に70メートル相手のヨットにリードを与えることで、ペナルティ解消として認められるため、これがイネオスにとって仇になりました。 この勝機を活かしたのがルナ・ロッサ。 第2、第3レグでも終始最高スピード55ノット(時速102キロ)を記録する場面が何度かあり、イネオスに対して200メートルから300メートルのリードを保ち続け、最終レグで326メートルのリードでルナ・ロッサが勝利のゴールで到着。 これで対戦成績が4対4のタイです。 傷だらけになったルナ・ロッサが心配ですね。 やっぱり何が起こるか分からないのがアメリカズカップであり、予想がますますむずかしくなってきましたね。 それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/ファイナル/第4日目

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 前日の2レース消化の遅れを取り戻すために開催された4日目。 海上の風速が最大21ノットのギリギリのコンディションで2レースが開催され、日曜日の軽風と違うレース展開になりました。 第5戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) レースの勝敗の決め手になったのが、スタート前を制したイネオスの攻撃的な動きで、ルナ・ロッサを減速させて寄せ付けないように牽制したことで、スタートラインをクリアしたあとも、イネオスがレースの主導での展開に。 第3レグ、第5レグ、第7レグで度々ルナ・ロッサが70メートルから35メートルまでリード差を縮めるシーンがありながら、リードを奪うことができず、イネオスが189メートルのリードで勝利。 第6戦:ルナ・ロッサ(◯)vs イネオス(☓) ほぼ同じスピードで2艇がスタートし、第1レグで首位争いの攻防が繰り返されるなか、ルナ・ロッサが第1ゲート通過時点から最高速度51ノットを記録してイネオスより速いスピードを保つことで、徐々にリード差を広げる展開に。 第3レグから更にリード差を広げて、最終レグで408メートル、ゴール前で363メートルのリードでルナ・ロッサが勝利。 これで対戦成績が3対3。五分の成績で4日目が終了しました。 正直イネオスがここまで食い下がるようになっていることに、ちょっと驚いてます。 ネットでは、どうせなら13戦を両チームが戦い抜くところまで見たくなる。というコメントも目につきました。 というわけで、予想が難しくなってきている感じですね。 それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/ファイナル/第3日目

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 今日は気まぐれな風速に文字通り振り回されたようなレース日でした。 第3戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) レース開催可能な風速の上限21ノットを超えるコンディションで、やり直しの第3レースは、風が落ち着くまで待つことに。 その待ち時間中に、ルナ・ロッサのメインセールのスプレッダー(間違ってたらごめんなさい!イタリア語では "Stecca" ステッカと呼ばれていました。)が折れてしまい、それに気がついてクルーとスタッフがチェイスボートを使って、メインセールを急遽交換しなければいけないというアクシデントに見舞われました。 チームがメインセールを付け替えている間に、風速が落ち着いてレースを始める条件となってしまい、完全に付け替え作業を終わらなかったルナ・ロッサは、審判団から外部の手助けを受けたと判断され、失格扱い。一方のイネオスは、通常のルールに沿ってスタートし、そのままイネオスが勝利ポイントを獲得する流れに。 ルナ・ロッサにとっては、悔しい失点で、対戦成績が1対2。 イネオスの方もこのレースが終わって次のレースを待っている間に、ジブセールの不具合で一時的にセールをおろして修理作業にかかる場面も。 第4戦:ルナ・ロッサ(◯)vs イネオス(☓) ようやく2艇がレースできる状態になり、スタート前から両チームの攻防が始まり、ルナ・ロッサがわずかなリードでスタートラインをクリア。 2艇のリード差は第1ゲート通過時点でわずか6秒でルナ・ロッサが辛うじてリード。 じわじわとリードを300メートル以上作ったルナ・ロッサが、第7レグでイネオスに110メートルにまで迫られることに。 第7ゲート前のルナ・ロッサのタックミスで、勝敗は最終レグに持ち込まれ、たったの4秒差/75メートルでルナ・ロッサが勝利。 これで対戦成績を2対2。 というわけで、土曜日の延期されたレース日を取り返すために、第5ー6戦が9月30日(月)二予定されています。 とりあえず、ルナ・ロッサファンは今日の1勝でホッとしましたね! こんな状況でも、今日の最高スピードは55ノット/時速102キロをルナ・ロッサが記録しています。 余談ですが、今日コース外でトレーニングをしていたアリンギのヨットも転倒し、壊れました。 それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/ファイナル/第1日目

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ルイ・ヴィトンカップの決勝戦は、1回のレガッタで8レグの走行になり、全部で13レガッタのうち7勝したチームがルイ・ヴィトンカップの優勝チームになり、アメリカズカップを賭けてニュージーランドに挑む権利を獲得します。 第1戦:ルナ・ロッサ(◯)vs イネオス(☓) バルセロナのコースは、今までと違う風速が最大で21ノットあるコンディションで、イネオス対ルナ・ロッサの対決が始まりました。 レース中の最高スピードは52ノット(時速97キロ)が記録されるほど、スピード感あふれるレース展開に。 スタート前の速攻でルナ・ロッサがイネオスを振り切ってスタートラインをクリアし、若干遅れたイネオスがスタート直後にタックで違うコースを選ぶことに。この状況を最後までキープしたルナ・ロッサがイネオスに46秒差(770メートルリード)をつけて勝利し、1ポイントを獲得。 風が強い中、スピードを如何にコントロールして最大のスピードでミスをしないかという緻密な操縦技術が必要だったレースでした。 ちなみに、今日使われていたジブセールは小さめのもの。 第2戦:イネオス(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) 今度はイネオスが風下の有利な方向に向かってスタートラインをクリアすることに成功し、ルナ・ロッサが若干遅れを取ってスタート。 第1戦目ほどイネオスとルナ・ロッサのリード差は広がらず、何度かルナ・ロッサが接戦の可能性を作ったかと思えば、また離されるという展開でそれでも200−300メートルの遅れではあったものの、イネオスがリード差をキープして18秒差(389m)でゴールして1勝。 レース終了後の両チームの比較データで明らかになったのは、このレースで操縦回数とそうきょう距離が短かったのはイネオス。ルナ・ロッサの方が何度かタック数が多くて、そうきょう距離が長くなり負けてしまったという分析のようです。 というわけで、イタリアでのメディアの反応は「イネオスもなかなかやるな」という空気です。 というのも、昨日まで開催されたYouth America's Cup 若い世代のセーラーがAC40で競う大会で決勝戦をルナ・ロッサとアメリカンマジックが戦い、ルナ・ロッサが優勝したから、本家のルイ・ヴィトンカップでもルナ・ロッサがんばれ!ムードが高まっているからだと思います。 というわけで、それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第5日目

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 ルナ・ロッサが前日のスランプを覆し、ルイ・ヴィトンカップ決勝戦へ! この日に予定されていた最後の2レースで、ルナ・ロッサとアメリカンマジックの運命が決まる決定的な日でした。 アメリカンマジックが、もう1勝していたらルナ・ロッサと勝利ポイント4対4で同点になり、最終レースが決定戦になるというシナリオも想定できていました。 海上の風速は7−11ノットで、ルナ・ロッサの陸上のチームが徹夜で前日に故障したメインセールのトラベラートラックシステムを修理し、ルナ・ロッサが再び海に戻ってきました。 イタリア/アメリカ第8戦:ルナ・ロッサ(◯)vs アメリカンマジック(☓) スタート前の駆け引きで、アメリカンマジックの方が若干先行でスタート。 スタート直後の第1レグからリーダー争いの展開で、第1ゲートはルナ・ロッサリードで通過。 第4レグまで、アメリカンマジックが110−140メートルの距離でルナ・ロッサに付いていく状況で、なかなかリードが広がらず、両チームのスピードもほぼ互角で35−36ノット。 第4レグ中盤からルナ・ロッサが走行する方向が風速の強めなゾーンで、この辺りからリード差が300−500メートル以上に。最終レグではアメリカンマジックに対してルナ・ロッサが700メートル以上リードし、決勝戦へ向かう堂々のゴール。 ルナ・ロッサの仕上がり度を実感したセミファイナルであり、アメリカンマジックは前評判が良かったのに、なぜ結果を残せないのか?アメリカチームがアメリカズカップに参戦しなくなったらどうなるの?とふと考えたセミファイナルステージでした。 イタリア国では速報でこのニュースが報道され、勝利の瞬間にイタリア語で歓喜するルナ・ロッサのクルーたちの言葉も観客は楽しみに聞いている雰囲気です。 決勝戦の対戦カードは4年前のオークランドと同じ、イネオス対ルナ・ロッサに決定し、9月26日から始まります。 それではまた!

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第4日目

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 海上の風速は10ノット前後で、イギリス対スイス(4対1)、イタリア対アメリカ(4対1)の状況から、それぞれ2回戦がありました。 結果は、イネオスが2戦目で勝利し、ファイナルステージに駒を進め、アリンギは敗退が決まり、ルナ・ロッサは2連敗、アメリカ2連勝で総合ポイントが4対3に。 イギリス/スイス第6戦:アリンギ(◯)vs イネオス(☓) スタートはアリンギ先行で始まり、イネオスが追いかける形で進行し、第1ゲート前でイネオスがアリンギに約18メートルまで迫り、ゲート通過後にイネオスが一旦リード。 第4レグでイネオスがフォイルダウンで減速し、ここが勝機になったアリンギはそのまま逃げ切ってゴール。アリンギが2ポイント目を獲得し、対戦成績を4対2に。 イタリア/アメリカ第6戦:アメリカンマジック(◯)vs ルナ・ロッサ(☓) スタートはアメリカンマジック先行で始まり、ルナ・ロッサは近い距離でアメリカンマジックを追いかけ、第2レグでもリーダー争いの接戦の展開に。 第3ゲート通過前に両チームのヨットが左右からそれぞれ違うボアに向かったことで、ボア通過後にルナ・ロッサがフォイルダウンで減速し、アメリカンマジックもその後減速。 減速から早く復活したのは、アメリカンマジックの方で、そのままルナ・ロッサを引き離してゴールし、2ポイント目を獲得。 イギリス/スイス第7戦:イネオス(◯)vs アリンギ(☓) スタート前にイネオスがペナルティを受けたことで、アリンギは若干有利な状況でスタート。 スタート直後ペナルティを消化したイネオスがアリンギにを捉えて、リードが逆転。 第1ゲート通過後からイネオスが徐々にリード差を広げていき、今回はアリンギには逆転の成す術もなく、ファイナルレグでフォイルダウンし、これでアリンギの敗戦が決定的に。 イネオスが勝利し、5ポイント目を獲得。 ルイ・ヴィトンカップの決勝戦へ駒を進める勝利になりました。 イタリア/アメリカ第7戦:アメリカンマジック(◯)vs ルナ・ロッサ(失格) 両チームともほぼ同じスピードでスタートし、スタート直後はアメリカンマジックがリード。 第1レグから接戦の展開で何度もリードが逆転し、どちらが勝てるのか予想するのが難しい状況。 第4レグでルナ・ロッサが90メートル以上のリードを作り、これからというタイミングでタックをしたときに、ルナ・ロッ

ルイ・ヴィトンカップ/セミファイナル/第3日目

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この日にアリンギかアメリカンマジックはトーナメントから敗退するだろうと、大半が予想していたと思いますが、自然の力が手伝って両チームとも九死に一生を得た日となったレースになりました。 どんなにハイテクなヨットでも、自然の力には抗えない。そんな日でした。 イギリス/スイス第5戦:アリンギ(◯)vs イネオス(失格) スタート前の風速は9ノットほどで、両チームとも悪くないスタートラインへのアプローチ。 アリンギがOCSペナルティ(スタート前にコース内にアクセスした)で、スタートラインをクリアしてからペナルティ消化のハンディを背負ってレースが始まり、イネオスはそれを機に徐々にリード差を広げ、第2ゲート通過前に414メートルのリード。 イネオスが第2ゲート通過時に、フォイルダウンで減速。イネオスの速度は12.8ノットに対して、アリンギが28.9ノットで追いかけて、第3レグでとうとうアリンギがリード。 第3レグで海上の風速が5.9ノットに落ちたことで規定の最低風速6.5ノットを下回る状況で、イネオスはスピードを取り戻せず、アリンギもスピードを落として進行することに。 アリンギは1800メートルのリード差を作ったことと、1レースの最長時間が45分までという規定があり、ゴールが5レグまでに縮小されたことで、45分以内にアリンギがゴールラインにたどり着けば勝利という状況に。 この状況でスタート開始からアリンギは41分後にゴールラインにたどり着いたことで、アリンギ勝利! イタリア/アメリカ第5戦:アメリカンマジック(◯)vs ルナ・ロッサ(失格) スタートラインを先行して発進したのは、ルナ・ロッサ。アメリカンマジックがルナ・ロッサに付いていく形で、第3レグでアメリカンマジックがリードサ46メートルまで迫って来た。 このあたりから両チームがタックでクロスするシーンで何度かアメリカンマジックがルナ・ロッサに対して抗議し、ルナ・ロッサが2回のペナルティを受けることに。 贔屓目もあるかもしれないですが、見ていてアメリカンマジックがわざと接近してきて、抗議してペナルティ消化の間に距離を伸ばすという思惑があったんじゃないかという印象を持ちました。 第4レグでも接近した攻防があり、良くなかったのは第4ゲート通過時のルナ・ロッサ。 ルナ・ロッサの方が角度的に無理のあるボアの通過で、墓穴を掘ることに。